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漠に近いこと、北西貿易風圏縁にあること、高い山があること、各島および高度によりかなり変化があるものとなっている。
すなわち、一般に気候は温暖で気温の年較差が小さく、また降雨量も極めて少なく、年間100?程度であるが、各島はアフリカ大陸に近い島ほど乾燥し、緑が少なくなる傾向にある。また、年に数回サハラ砂漢からシロコ(Siroco)と呼ばれる熱風が襲来し、この間は高温になり空は砂の微粒子のためどんよりと霞んでしまう。
植物分布をみると、一般的に山岳地帯には、緑樹も割合多くみられるが、平地、中間地帯はヤシ、サボテンなどがある程度である。特にラスパルマス市内では、緑がみられるのはCiudadJardin地区および公園などにかぎられ、それも多くは植樹されたものである。また、アフリカ大陸から離れるに従って島々の緑が多くなる傾向にある。カナリア諸島はスペイン領で、アフリカ西岸サハラ沖に浮かぶ7つの島からなり、スペイン50県のうち2県を占めている。すなわち、東側3島(ランサローテ島、フェルテベントゥラ島、グランカナリア島)から成るラスパルマス県、および西側4島(テネリフェ島、ゴメラ島、イエロ島、ラパルマ島)のサンタクルスデテネリフェ県である。
なお、1982年、両県は憲法の規定に従い、スペイン本土の他の地方と並んでカナリアス自治体となり、従来中央政府の所管であった権限のいくつかがカナリアス自治体に移管された。また1992年に、カナリアス自治体はEC(欧州共同体)に完全加盟、農業・漁業政策、経済貿易などの面で、ECの枠組みの中に編入されつつある。
ラスパルマス市はグランカナリア島にあり、ラスパルマス県に県庁所在地で在留邦人のほとんどは同市内および周辺に在住している。わが国の総領事館も市内にある。カナリア諸島の起源については種々説があるが、最もロマンティクなのは、海中に没した幻のアトランティス大陸の一部であるとする説である。しかし、今日最も信頼されている説は大西岸の膨張に伴う同海底の亀裂を原因とする多発火山によるとの説である。最初の噴火は第三紀層の頃と推定されており、最近では1971年に起きたラパルマ島のテネギーアの噴火がある。
カナリア諸島は、ローマ時代からその存在を知られており、カナリアという名の由来は、ローマ人が初めてこの地に上陸した時、野生の犬が多く生息しているのを見て、Insura Camm(ラテン語で犬の島)と呼んだことによるといわれている。
小島のカナリアはこの島原産のフィンチ(鳥)に島の名をつけたものが鑑賞用に改良されたものがある。
15世紀にスペイン人によって征服される以前には、グワンチェと呼ばれる土着の原住民がおり、多くは洞窟生活をしていた。彼らは海岸近くに住み、主に農牧および漁労により生計を営み、社会組織はかなり進んでいたようである。ただし、金属の使用については知らなかったらしい。
ヨーロッパからの征服は、本格的には1420年のノルマンディの貴族ベタンクールにより始まり、ポルトガル、次いでスペインによる攻撃がくりかえし行われた。原住民はそのつど勇敢に

 

 

 

 

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